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「教えてください、白鳥館長」
−芹沢銈介美術館館長に聞く、芹沢銈介作品の魅力とは−


1、御滝図のれん(1962年)


staff 栗田)先日「美の巨人たち」で林家たい平さんも人生を変えた作品として紹介されていました。たい平さんもおっしゃっていたように研ぎ澄まされたデザインだなぁと感じます。こののれんを制作するにあたり、構想はどのくらいあったのでしょうか。
 
館長)そうですね。とにかく芹沢銈介先生は、時間をかけて制作を進めたものが多く、「御滝図のれん」もその代表例かもしれませんね。芹沢銈介美術館に、『のれん集』(上下2冊)という、のれん図案のアイデアを集めた折本があります。おそらく1948(昭和23)年ころにまとめたものかと思うのですが、その中にすでに滝をモチーフにしたのれんの図案が入っているんですよ。アイデアとしては少なくともそのころにはあったということですね。実際に制作に取りかかったのは1960(昭和35)年ころのことだと思いますが、そこからいくつも試作を重ねたのだと思います。1962(昭和37)年に、今回とりあげている作品ができるのですが、結局14年くらいはかかっていることになりますね。
そういう、時間をかけて作られた作品は多いです。よく知られた「天の字のれん」などは、1938(昭和13)年の図案集『一ぷくちょう』(柏市蔵)にかなり似たものが見られます。でも実際に完成したのは1965(昭和40)年。27年もかかっている(笑)。アイデア自体はかなり古くからあるけども、とにかく時間をかけて練り上げていくのが芹沢流ですね。
 
栗田)27年も!時間をかけてデザインが洗練された、研ぎ澄まされていったのですね。
 
館長)「御滝図のれん」を制作していたころ、芹沢邸に足を運んでいた方があって、こののれんの図案がどんどん変わっていく様を見て、仕事の練り上げ方、厳しさに驚いたということを書いていた方があったと思います。それを読んで、逆に「ああそうか」と思ったのは、その仕事ぶりが見えるようになっていたということ(笑)。見せるべき人にはさりげなく見せて、その人のふとした反応なり感想なりを受け止め、それすら反省の材料にしていたのではないかと思ったのです。
芹沢作品は、一見さりげないんですが、本当に見飽きないですよね。私は四半世紀以上、毎日見ていますが、見飽きないどころか恐ろしくさえ思えてきています(笑)。つまり、それだけ強いし、完璧なんだと思うのですが、その完璧さは、一つには、ゆっくり仕事を進めて、もともと厳しい人が、自分の仕事を、いろいろな時、いろいろな角度から見て、思い込みを取りはらって、何度も何度も反省しながら進んでいることから来ていると思います。それと同時に、人の意見や感想、反応なども、謙虚に受け入れてさらに仕事を見つめなおす。そうした粘り強く、多角的な反省が、芹沢の作品をゆるぎないものにしたと思うのです。
でも、厳めしくはならない(笑)。厳めしい芹沢作品なんて、ないですよね(笑)。そこがすごいと思うんです。「御滝図のれん」もそうですが、その芯、その本質に静かさ、明るさがある。無理にそうしているんじゃなくて、自然にそうなんですからね…。そこがとても不思議なんですけど。生来のものかもしれませんね(笑)。
 
栗田)私ももう20年近く芹沢先生のファンですが、本当に芹沢作品は見飽きません。明るいけれど静かな感じ、本当にそうですね。芹沢銈介先生は没後35年が経ちましたが、いつ見ても目新しいというか、色褪せない魅力を放っていると思います。
 
●掲載図録『五十の作品でたどる芹沢銈介八十八年の軌跡』

2、富士と雲文のれんはこちら!

 

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